悩んでいる状態から一歩踏み出して、解決のために行動に移すことはよいことだ。
しかし、問題解決のために手段としてはじめたことが、いつの間にか目的化していることもある。悩み解決の出口を見失わないように、手段と目的の違いを明確に認識することをおすすめする。
1.悩み解決のための手段が目的化してしまうこともある
悩んでいる状態は辛い。それを改善しようと、本やネットで調べて、対策を行動に移す。じっと我慢している状態に比べれば、動き出した分、一歩前に進んでいる。苦しさや不安から解放されたいとの思いで、対策となる行動を熱心にやることも多いだろう。
しかし、熱心に取り組むあまり、もともと手段であった対策自体が「目的化」して、当初の悩みが本質的に解決していかない場合もある。次に事例をあげて説明したい。
2.ケーススタディ:老後生活への備え
誰もが、安定した老後生活を送りたいと願っている。しかし、国の厳しい財政状況や、「老後資金2,000万円不足問題」が話題となるなど、老後の生活資金について心配する人は多い。真面目な人は、具体的に、現在の生活費の節約や、老後資金の準備について行動を始めている。株式などの投資なども手掛ける人も増えてきた。
お金の問題は老後の生活を見据える上で、重要な要素となる。欲しいものを我慢して節約に励んだり、慣れない投資の勉強に苦戦している人も多いだろう。お金のやり繰りは実生活に影響が出るため、いろいろ考えることも多くなってくる。節約や投資といったことを熱心にやっていると、当初の目的が見えなくなることが多い。そもそも、お金を貯めること自体は目的ではなく、充実した老後生活を送りたいということが目的であったはずだ。
充実した老後生活には、生活資金だけではなく、健康の維持や自分のやりたいことを取り組むといったことも大切だ。手段である資金面の準備だけに注力すると、他の要素を見落としたり、現在の暮らしでやりたいことを我慢することにもなってしまう。
3.冷静に一歩離れて、「手段」と「目的」の違いを見極めよう
上記のように「手段」がいつの間にか「目的化」してしまうのを防ぐにはどうすればよいだろうか。
まずは、一生懸命励んでいることについて、ときどき冷静に自問自答してみよう。今取り組んでいることは「手段」であるが、そもそも「目的」は何であったか。そう問いかけることで、頭の中で整理される。時間や労力をかけて取り組んでいることであっても、目的に合わないことであれば見直しが必要である。
また、自分を客観視するために、「目的」と「手段」について、メモ書きで紙に書き出してみるのも有効だ。紙に書いておけば、しばらくして状況が変わったときに、どう見直せばよいかもわかりやすくなる。
こうした取り組みをすれば、「気づいたら、思ったところと違う出口にたどり着いてしまった」というようなことを防ぐことができる。
4.まとめ
・悩みを解決しようと始めた「手段」がいつの間にか「目的化」してしまうことがある。
・一生懸命取り組んでいることも一歩離れて、「手段」と「目的」を整理する場を持つといい。
・当初の「目的」について、簡単にメモ書きして残すのも有効。状況が変わったときにどう見直せばよいのかヒントになる。
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