前回記事「職場を離れたら仕事のことは忘れよう。新しい価値を生み出すために気持ちを切り替える。」では、きっぱり気持ちを切り替えるべきと説明した。
しかし、「仕事のことを考えたくない」「思い浮かべない」と念じれば念じるほど、頭の片隅に浮かび上がってくるものだ。そんなしつこい悩み事への対処として、自分の呼吸に意識を向けることを提案したい。
<目次>
- 1.頭に浮かぶあがる悩み事をリセットしたい。
- 2.無理やり打ち消すと、かえって意識してしまう。
- 3.呼吸に意識を向け、マスキング効果で離れる。
- 4.まとめ 気持ちの切り替えに、自分の呼吸を活用しよう。
1.頭に浮かぶあがる悩み事をリセットしたい。
会社で「嫌な人から腹立たしい言動を受けた」「上司から仕事の成果について、強い口調でプレッシャーをかけられた」。こういったことがあると、職場を離れても、悩みが頭の片隅に居着いてしまう。重いつめると夜中に目覚め思い出してしまい、眠れずに悩みが増幅してしまうこともある。考えても仕方がないのだから、頭の中からシャットアウトしてしまいたい。そんな時はどうすればいいのだろうか。
2.無理やり打ち消すと、かえって意識してしまう。
悩みが思い浮かぶ都度、「考えても無駄だ」「今、考えてはいけない」と強く念じても、しばらく経つと、またぶり返してくる。まるでしつこいインターネットのポップアップ広告のように、「閉じる」を何度クリックしても、再び表示してくるような執拗さである。
実は、無理に打ち消そうとする意識が、かえって悩み事の存在感を強化しているのだ。心理学分野の実験で、被験者に「『黒い熊』をぜったいに思い浮かべてはいけない」と指示を出したところ、各自の脳裏に「黒い熊がしっかり存在してしまう」という事象が確認されたそうだ。
思い浮かぶ悩みを否定するのではなく、別の方法で対処することが必要だ。
3.呼吸に意識を向け、マスキング効果で離れる。
否定し打ち消そうとする態度が逆効果なのであれば、自分にとって身近で確実な事象に意識を向けると、意識から悩み事が外れるのではないか。
私は、仕事の悩み事が頭の片隅に思い浮かんでくる時は、自分の呼吸に意識を向けるようにしている。漠然と不安感に覆われているときは、たいてい呼吸が浅くなっている。その状態を自覚して、意識的に腹式呼吸を行い、深い息をするよう集中する。頭の中の思考だけでなく、腹を実際に凹ませたり膨らませたり、体の動きを感じながら意識を切り替える。ゆっくり数をカウントすることで、もっぱら自分の呼吸に注意を振り向けるのだ。気を緩めると、また悩み事が頭の片隅に姿を現すことがある。その時は再び、呼吸へ意識を向けることに集中し、悩み事には「とりあわない」という態度を持つ。
深い呼吸をしばらく繰り返すと、心の落ち着きを取り戻し、目の前のことに集中できるようになっている。
4.まとめ 気持ちの切り替えに、自分の呼吸を活用しよう。
以上のように自宅等で仕事や職場の人間関係の悩みが浮かび上がったら、
・悩みが増幅する前に速やかに
・腹式呼吸をして意識をそちらに集中する
・それでも思い浮かんだとしても「とりあわない」
・数字をカウントしながら深く息をする。お腹の動きを意識して、頭の中だけではなく、身体の動きも連動させる。
以上のパターンで悩み事を無理に打ち消すことなく、意識の中から退去してもらう。翌日以降の職場で、リフレッシュした頭で仕事上での課題には向き合う。このことより、生活の充実感、仕事の効率性が共に向上すると考える。