こんにちは。このブログでは、私が読んだ本の感想やおすすめを紹介しています。
今回は、近畿大学教授でジャーナリストの奥田祥子さんの著書『シン・男がつらいよ 右肩下がりの時代の男性受難』(朝日新書)について書きたいと思います。
この本は、男性の生きづらさをテーマにしたルポルタージュです。
奥田さんは、20年以上にわたって1500人近くの男性にインタビューを行ってきました。
その中から13人の男性の声を紹介しながら、日本社会における男性の苦悩や抑圧、呪縛を浮き彫りにしています。
私はこの本を読んで、目から鱗が落ちる思いでした。
自分も含めて、多くの男性は「強くあってこそ男」「稼いでこそ男」というジェンダー規範に縛られて生きていることに気づかされました。
それが原因で、女性や他の男性との関係に悩んだり、自分の感情や欲求を抑え込んだり、自己肯定感を失ったりしていることにも気づきました。
この本では、以下のような事例が紹介されています。
- 就活では「ガッツ」を求められるが、内心は不安や恐怖でいっぱいな学生
- 妻のほうが出世して負い目を感じる夫
- 出世競争に敗れて妻からDVを受けるサラリーマン
- 管理職や正社員などの権力者に抑圧される非正規雇用者
- 母親から束縛され共依存に陥る息子
- おやじ世代の価値観を背負わされる若者
これらの事例は、私自身や身近な人にも当てはまるものが多くありました。
特に印象的だったのは、母親から束縛され共依存に陥る息子の話です。
母親に従うことで母親から愛情を得ようとしてきましたが、それが自分の人生を狭めている事例です。
この本は、男性だけでなく女性にも読んでほしい本です。
女性は男性がどんな苦しみや葛藤を抱えているか知ることで、彼らに対する理解や共感を深めることができます。
また、女性も男性もジェンダー規範から解放されて自由に生きられる社会を目指すことができます。
この本は、奥田さん自身も20年以上かけて取材した成果です。
奥田さんは読売新聞記者として働きながら、ジェンダー論や労働政策を専門とする学者でもあります。
奥田さんは、「仮面イクメン」「男の更年期」「無自覚パワハラ」「結婚できない男たち」など独自の切り口で男性の生きづらさを追い続けてきました。
奥田さんは、この本で、欧米に大きく立ち遅れている男性のためのジェンダー平等政策を、日本でどう進めていくべきかについても提案しています。
私はこの本を読んで、自分の男性としてのあり方や社会との関わり方を見直すきっかけになりました。
この本は、男性の生きづらさを知りたい人、ジェンダー平等に関心のある人、自分自身を変えたい人におすすめです。
この本は、下記リンクから購入できます。