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朝日新聞政治部の元記者が暴露する、新聞社の内幕とジャーナリズムの危機

こんにちは。今回は、ノンフィクション『朝日新聞政治部』講談社)をご紹介します。

この本は、朝日新聞社を退社したジャーナリスト・鮫島浩氏が、自らの体験をもとに書いた衝撃的な告発本です。

鮫島氏は、1999年から政治部に所属し、菅直人竹中平蔵古賀誠など幅広い政治家を取材しました。

2010年には39歳で政治部次長(デスク)になり、2012年には調査報道に専従する特別報道部デスクとなりました。

その間に、手抜き除染や吉田調書など数々のスクープを手がけ、新聞協会賞も受賞しました。

しかし、2014年には福島原発事故慰安婦問題などで朝日新聞が大バッシングを受けることになります。

鮫島氏は、吉田調書報道の担当デスクとして、スクープの栄光から「捏造の当事者」にまっさかさまに転落します。

保身に走った上司や経営陣は、次々に手のひらを返し、鮫島氏を責め立てました。

そしてすべての責任を押し付けたあと、待っていたのは「現場の記者の処分」でした。

このときに「朝日新聞は死んだ」と、鮫島氏は書きます。


この本では、戦後から日本の政治報道やオピニオンを先導してきた朝日新聞政治部の最後の栄光と滅びゆく日々が、登場人物すべて実名で生々しく描かれます。

この本を読んで私が感じたことは、

  • 朝日新聞社内の派閥争いや出世競争が激しく、記者やデスクの自由や個性が制限されていること
  • 政治家や官僚と癒着し、権力に迎合するか反発するかの二極化が進み、客観的で公正な報道ができなくなっていること
  • ネットやSNSの台頭に対応できず、時代遅れの紙媒体に固執し、読者や世論と乖離していること

などです。


私はこれまで朝日新聞を信頼して読んでいましたが、この本を読んで目から鱗が落ちました。

朝日新聞は、日本のメディアと政治の闇を暴くという使命を果たせなかったのです。

それどころか、その闇の一部になってしまったのです。


この本の著者である鮫島氏は、朝日新聞を退社したあと、ウェブメディア「SAMEJIMA TIMES」を創刊しました。

そこでは、誰よりも詳しくわかりやすい政治解説を無料で公開しています。

鮫島氏は、新聞という媒体はいずれ滅びると思うけど、ジャーナリズムは滅びないでほしいと言っています。

そして、新しい形でジャーナリズムを発展させていこうと挑戦しています。

私は、鮫島氏のようなジャーナリストが増えることを願っています。

そして、私たち読者も、メディアに騙されないために、自分の頭で考える力を養っていきたいと思います。

この本は、日本のメディアと政治に興味がある人はもちろん、自分の目で物事を見る力を身につけたい人におすすめです。

この本は下記リンクから購入できます。