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『北関東の異界』で知る日本の移民社会。エスニックな料理と人情に触れるルポ

こんにちは。今回は、北関東を横断する国道354号線沿いにある外国人居住地を取材したノンフィクション『北関東の異界 エスニック国道354号線 絶品メシとリアル日本』(新潮社)を紹介します。

この本は、アジア専門ライターの室橋裕和さんが、群馬県高崎市から茨城県鉾田市までの約200キロに及ぶ国道354号線を車で走りながら、そこに暮らす外国人労働者や移民の生活や食文化に触れるルポルタージュです。

この道は、パキスタンスリランカミャンマーベトナムなどの国々の料理が食べられるレストランやモスクが点在し、知る人ぞ知る「エスニック国道」と呼ばれています。

室橋さんは、これらの店や施設を訪ね、外国人の方々と交流し、時には彼らの自宅に招かれて、珍しい料理や話を楽しみます。

その過程で、彼らが日本でどのように働き、暮らし、コミュニティを築いているのか、また、どのような問題や困難に直面しているのか、実感を伴って描かれています。


この本を読んで、私は以下の点に感動したり、役に立ったりしました。


・まず、エスニックな料理の数々に舌鼓を打ちました。

パキスタンのナンやカレー、スリランカのホッパーやコットゥ、ミャンマーのモヒンガやサラダ、ベトナムのフォーやバインミーなど、どれも美味しそうで、食べてみたいと思いました。

室橋さんは、それぞれの料理の特徴や歴史、作り方などを詳しく紹介してくれるので、食べ物好きにはたまらない本です。


・次に、外国人の方々の人情に触れたことです。

室橋さんは、彼らとの交流を通して、彼らの人柄や思いやり、ユーモアや勇気などを感じ取ります。

例えば、パキスタン人のレストラン経営者は、室橋さんを自宅に招いて家族と一緒に食事をさせてくれたり、スリランカ人のタクシー運転手は、室橋さんをモスクに連れて行ってくれたり、ミャンマー人のロヒンギャ難民は、室橋さんに自分たちの苦悩や希望を語ってくれたりします。

これらのエピソードは、彼らとの距離を縮めるとともに、彼らの日本での生活のリアリティを伝えます。


・そして、日本の移民社会の現状や課題について考えさせられたことです。

室橋さんは、彼らが直面する労働環境や生活環境、法的な問題や差別や偏見などについても正直に報告しています。

例えば、技能実習生制度の問題点や、在留資格の不安定さや、日本語教育の不足や、子どもの教育や就職の困難さなどです。

これらの問題は、日本の少子高齢化や人口減少、産業構造変化などに伴って、今後ますます深刻になると予想されます。

この本は、日本の多文化共生の未来に向けて、私たちが知るべきことや考えるべきことを示してくれます。


この本の背景や著者についても触れておきたいと思います。

室橋裕和さんは、タイを拠点に10年間、同国や周辺国を取材し、帰国後も『ルポ新大久保』(辰巳出版)などで日本の中の「移民社会」を訪ね歩いたアジア専門ライターです。

この本は、彼が2019年から2020年にかけて、国道354号線を何度も往復しながら取材した成果です。

彼は、自分の体験や感想だけでなく、外国人の方々の声やデータや文献なども豊富に引用して、読者に分かりやすく伝えようと努めています。

また、彼は、自分の立場や偏見にとらわれず、彼らと対等に向き合おうとする姿勢や、彼らの文化や宗教に対する敬意や好奇心も感じさせてくれます。


以上のことから、私はこの本を高く評価し、おすすめします。

この本は、日本の中にあるエスニックな世界を知り、日本の移民社会の現状や課題に目を向けるきっかけになると思います。

また、エスニックな料理や人情に触れることで、日本の多様性や豊かさに気づくこともできると思います。

この本は、エスニックな料理や移民社会に興味のある方はもちろん、日本の未来に関心のある方にもおすすめです。この本は、下記リンクから購入できます。