前回記事に引き続き、心理カウンセリングの実体験レポートその28である。
前回記事で「自動思考」について説明した。カウンセリング面接で、実例を用いて自分の自動思考を検討する作業を行ったので、紹介したい。
<目次>
1.自分の自動思考について検証を行う
カウンセリングの場で、自分の自動思考を一つ取り上げ、その考えが妥当なものかを検証する作業を行った。カウンセラーから、いろいろアドバイスを得ながら、ワークシートに書き込んでいく形で進める。
取り上げる自動思考については、以前、「やっかいな仕事を丸投げされて、文句を言えずに引き受けてしまいストレスを感じる」と話していたので、「なぜ引き受けるのか」という自分の思考を検証することになった。
自分で考えてみると、文句を言わずに引き受けてしまう態度の背景に、「職場では、あれこれ自分の都合を主張するのは適切ではない」という考えがあると思った。この考え方を自動思考の一例として取り上げ、ワークシートに沿って検討を行った。
2. 自動思考検証ワークシートの実例
以下、カウンセラーのアドバイスも得ながら、完成させたワークシートの実例である。
例示として載せるので、内容的には飛ばし読みをしてください。
自動思考例 「職場では、あれこれ自分の都合を主張するのは適切ではない」 確信度 70%
■その考えが、
1「正しい」と言える根拠は
・「まずは黙ってやってみろ」という風習への準拠。
・「自分の都合を説明する」時間は無駄と考える。
2「正しくない」と言える根拠は
・言葉にして伝えない限り、他人には自分の都合、気持ちは伝わらず、相手も調整(加減) ができない。
・自己主張を抑え込むことで、気分が低調となりトータルでは時間効率が低下している。
■何か別の見方はないだろうか
・程度をわきまえれば、自分の都合を主張してもよいのではないか。
・引き受けるとしても、条件を付けて交渉し、よりよい条件で引き受けることができるのではないか。
■どのようなことになる可能性があるのだろうか
(1)最悪の場合 (50%)・自己主張をして受け入れられなかった場合、「言わない方がよかったのでは」という自己嫌悪的な気分が発生し、引きづってしまう。
(2)最良の場合(30%)
・上司の方でもやり方を改善してもらえ、こちらも気持ちよく取り組める。
(3)最も現実的に考えた場合(20%)
・条件付きで引き受けることによって、自分の中にわだかまりのようなものが発生することを軽減できる。
■その考えを信じることで、
(1)どんなメリットがあるだろうか
・自分の考える「サラリーマン像」と合致する。
人から「悪い評価」を受けずにすむ。「いい人」的イメージをキープできる。
・波風を立てない(空気を読む)
(2)どんなデメリットがあるだろうか
・心の中にわだかまり、「おり」のようなものが溜まる。結果、体調不良や不眠につながる。
■その考えを変えたり、他の考え方を選択できたら、どんな効果があるだろうか
・「自分」を主語にものごとを考える。
■もし、他の誰か(友人など)が同じ状況だったら、その人はどう考えるだろうか。
・自分の感情にもう少し素直になり、言いたいことを言う。
■もし、他の誰か(友人など)が同じ状況だったら、自分はその人に何と言ってあげるだろうか。
・トータルで組織にとってマイナスにならないよう、自分の意見も適度に主張すべき。
■この状況で、以前、似たような状況でどのような対処をしたか
・忙しいアピールをする(しかめっ面で仕事をする)
■この状況で、もし他の誰かだったら、どのような対処をするだろうか
・周囲に文句を言い散らす
■現実的にはどんなことができそうか
・条件付きで引き受けることでバランスをとる。
■自分自身に対して、何と言ってあげたいか
・(すぐに言い返せるように)応答の定型文を準備しておけばどうか。
・適度に自己主張をすることが、自分のためになる(ガス抜き効果もある)。
■その他
・「いい人」と思われたいというのが自分のためになっているのか。
・職場の空気感を乱さないかと、過度に気にしている。
☆今、自動思考をどれくらい確信しているか。 確信度 33%。
3. 自動思考を検証してみて
自分が普段おこなっている自動思考について、紙に書き出して丁寧に検証すると、多分に自分の「思い込み」や「偏ったものの見方」があったことに気付く。この作業は多分に理屈っぽく、自分一人では進めにくのでカウンセリングの先生と適宜、会 話をしながら進めたのはよかったと思う。 カウンセリング当日には、「これから1日、1回このワーク作業をやってみようかな」と思 った。しかし、カウンセリング日から10日経ったのであるが、自分一人では面倒くさくな ってやれなかった。なかなか独力でやり通すのは難しいものである。
(「実録心理カウンセリングを受けてみた」シリーズ、次回に続く)