こんにちは。
今回は、最近話題になっている新書『ファスト教養 10分で答えが欲しい人たち』(集英社新書)を読んでみました。
この本は、ライター・ブロガーのレジーさんが、現代社会に広まっている「ファスト教養」という現象を分析・批判したものです。
「ファスト教養」とは、自分の市場価値を上げるため、収入を上げるために超効率的に役立つ教養のことです。
例えば、YouTubeで名著の要約を見たり、インフルエンサーから財テクや論破術を学んだり、自己責任や自己成長を説く本を読んだりすることです。
このような「教養」は、本当に自分の精神を豊かにするものなのでしょうか?
また、このような「教養」に刺激されて発信する人たちは、何を伝えたいのでしょうか?
この本を読むと、そんな疑問に答えてくれます。
私はこの本を読んで、自分の教養観や価値観について深く考えるきっかけを得ました。
この記事では、この本の内容や感想を紹介しながら、私が気づいたことや学んだことをシェアしたいと思います。
この記事を読んでくれたあなたも、自分にとって本当に大切な教養とは何かを見つめ直すことができるかもしれません。
本の内容
この本は、以下のような構成になっています。
- 第一章 「ファスト教養」とは?──「人生」ではなく「財布」を豊かにする
- 第二章 不安な時代のファスト教養
- 第三章 自己責任論の台頭が教養を変えた
- 第四章 「成長」を信仰するビジネスパーソン
- 第五章 文化を侵食するファスト教養
- 第六章 ファスト教養を解毒する
第一章では、「ファスト教養」と「教養はビジネスの役に立つ」という言説の背景や意味合いについて解説しています。
レジーさんは、「ファスト教養」が流行っている理由として、以下のような要因を挙げています。
- 経済的不安や競争意識から、「稼ぐ力」や「出し抜く力」が求められるようになったこと
- ソーシャルメディアや動画配信サービスなどの発達により、「情報量」や「発信力」が重視されるようになったこと
- 教育制度や文化政策の不備により、「教養」の定義や目的が曖昧になったこと
これらの要因により、「教養」は「人生を豊かにするもの」ではなく、「財布を豊かにするもの」として捉えられるようになったとレジーさんは指摘しています。
第二章では、不安な時代における「ファスト教養」の具体的な事例や影響について分析しています。
レジーさんは、「ファスト教養」がもたらす問題点として、以下のようなことを挙げています。
- 「ファスト教養」は「脅し」として使われることが多く、自分の無知や劣等感を煽られることがあること
- 「ファスト教養」は「読書代行サービス」として提供されることが多く、自分で本を読んだり考えたりする機会が減ること
- 「ファスト教養」は「美意識」や「文化的資本」を偽装することが多く、自分の本当の趣味や興味を見失うこと
- 「ファスト教養」は「オウム返し」として使われることが多く、自分の主張や思考を他人に押し付けること
これらの問題点により、「ファスト教養」は自分の精神を豊かにするどころか、逆に貧しくする可能性があるとレジーさんは警告しています。
第三章では、自己責任論の台頭が「ファスト教養」にどのような影響を与えたかについて考察しています。
レジーさんは、自己責任論の代表格ともいえる堀江貴文や勝間和代、ひろゆきなどの言説を取り上げて、以下のような点を指摘しています。
- 自己責任論は、「ファスト教養」を推奨する一方で、「教養」という言葉自体を否定したり軽視したりすること
- 自己責任論は、「ファスト教養」を利用することで、「スキルアップ」や「自己変革」を実現できるという幻想を煽ること
- 自己責任論は、「ファスト教養」を用いて、他人や社会を批判したり攻撃したりすること
これらの点により、自己責任論は「ファスト教養」を悪用し、自分の都合や利益に合わせて解釈したり利用したりする傾向があるとレジーさんは批判しています。
第四章では、「成長」を信仰するビジネスパーソンたちが「ファスト教養」にどのような関心や期待を持っているかについて調査しています。
レジーさんは、一般企業で働く三〇代と二〇代のビジネスパーソンへのインタビューから、以下のような傾向を見出しています。
- ビジネスパーソンたちは、「ファスト教養」に対して、自分のキャリアやスキルを短期間で向上させる手段として期待していること
- しかし、多くは「ファスト教養」によって得られる知識や情報が表面的であることに気づき、本質的な理解や深い洞察を求めるようになっていること
- 「ファスト教養」が提供する「即効性」や「実用性」に魅力を感じつつも、長期的な視点や人間関係の構築には不十分であると感じていること
私の体験談
私自身も、ビジネスの世界で生き残るためには、「ファスト教養」が必要だと思っていました。
しかし、この本を読んで、私は大きな気づきを得ました。
それは、「ファスト教養」ではなく、「スロー教養」が本当に重要だということです。
「スロー教養」とは、時間をかけてじっくりと知識や経験を積み重ねることです。
例えば、一冊の本を何度も読み返したり、一つのテーマについて深く掘り下げたりすることです。
このような学び方は、一見非効率的に見えますが、実は自分の内面を豊かにし、真の意味での成長をもたらします。
私は、「ファスト教養」に頼らず、「スロー教養」を大切にするようになってから、より充実した人生を送れるようになりました。
まとめ
『ファスト教養 10分で答えが欲しい人たち』は、現代社会の教養観を根底から問い直す一冊です。
この本は、以下のような人に特におすすめします。
- 自分の学び方や価値観に疑問を持っている人
- 情報過多の時代において、何が本当に大切な知識かを考えたい人
- 自己成長やキャリアアップだけでなく、人生そのものを豊かにしたい人
この本は下記リンクから購入できます。
是非手に取ってみてください。あなたの教養観が変わるかもしれません。