こんにちは、このブログでは、私が読んだ本の感想やおすすめを紹介しています。今回は、消費社会研究家の三浦展さんの『ファスト風土化する日本―郊外化とその病理』という本について書きたいと思います。
この本は、日本の地方が急速に都市化・郊外化・消費社会化していく過程で、どのような問題が起きているのか、そしてその影響が人々の生活や心に及ぼすものは何なのかを分析した一冊です。
ファスト風土とは何か
著者は、現代日本の病理を「ファスト風土」という概念で説明しています。
ファスト風土とは、ロードサイドに立ち並ぶファストフード店やショッピングセンターなど、全国一律で均質化された風景や生活空間のことです。
本書では、地方にもたらす悪影響を多角的に分析しています。例えば、
- 地元の商店街やコミュニティが衰退し、人間関係が希薄化したり、匿名化したりすることで、社会的な絆や信頼が失われる
- 安価で便利な商品やサービスに慣れてしまうことで、品質や倫理性に対する意識が低下したり、自分の欲望を満たすことが目的化したりする
- 地方で頻発する不可解な犯罪や、地域の独自性や共同性の喪失、階層意識の高まりや愛国主義の台頭など
ファスト風土化は世界的な現象である
ファスト風土化は日本だけでなく、世界的な現象です。
著者は、ヨーロッパやアメリカでも同様の問題が起きていることを紹介しています。例えば、
・フランスでは「マクドナルド化」と呼ばれるアメリカ文化の浸透に抵抗する動きがあります
・アメリカでは「ウォルマート化」と呼ばれる大手スーパーの低賃金路線が労働市場全体に波及し、労働環境が悪化していることが指摘されています
これらの事例からもわかるように、ファスト風土化はグローバルな経済や文化の流れによって引き起こされているものであり、日本だけでなく他国でも対策が必要だということです。
スロー風土という考え方
ファスト風土化に対抗するためには、「スロー風土」という考え方が有効だと著者は提案しています。
スロー風土とは、生産者や消費者の顔が見えるような関係性を重視する風土のことです。例えば、
- 地元の農産物や工芸品を直接買う
- 地域の伝統文化や歴史を学ぶ
- 自分で家庭菜園をする
- 自転車で移動する
スロー風土は、ファスト風土によって失われた地方の独自性や共同性を取り戻すことにも貢献します。
また、自分の生活や環境に対する責任感や自主性を育むことにもつながります。
この本を読んで感じたこと
この本を読んで、私は自分の住む地域や生活に対する見方が変わりました。
私は都市部に住んでいますが、ファスト風土化の影響を感じることがあります。例えば、
- 近所にはコンビニやファミレスが多く、商店街や公園は少なくなっています
- 人と人との交流も希薄で、顔見知りの人と挨拶することすら少なくなっています
私はこのような状況に不満を感じていましたが、どうすれば改善できるのかわからなかったのです。
しかし、この本を読んでからは、スロー風土の考え方に共感し、自分でも実践しようと思うようになりました。例えば、
- 地元の農協や市場で新鮮な野菜や果物を買う
- 地域の祭りやイベントに参加する
- 自分の趣味や興味に関連するサークルやボランティアに参加して、同じ志を持つ人と交流する
これらのことを通して、私は自分の住む地域や生活に対する愛着や満足感が高まっていることを感じています。
おすすめの本です
この本は、日本の現状を正面から見つめることができる貴重な一冊だと思います。
消費社会や郊外化について興味のある方はもちろん、自分の住む地域や生活に対して何か違和感や不満を感じている方にもおすすめです。
この本を読んで、自分の生活や環境に対する意識や行動が変わるかもしれません。この本は下記リンクから購入できます。