読書体験から豊かな人生を

読書体験から、新たな人生価値を見つけましょう

『再考 ファスト風土化する日本』を読んで考えたこと~私の住む場所と暮らし方の見直し~

こんにちは。このブログでは、私が読んだ本の感想やおすすめを紹介しています。

今回は、社会デザイン研究者の三浦展さんの著書『再考 ファスト風土化する日本~変貌する地方と郊外の未来』について書きたいと思います。

この本は、2004年に出版されたファスト風土化する日本 郊外化とその病理』の続編として、19年後の現在の日本の地方と郊外の姿を分析し、脱・ファスト風土化の可能性や方策を提案しています。

ファスト風土とは、三浦さんが造語した言葉で、日本各地のロードサイドに大型商業施設が建設され、その土地固有の歴史・自然・風土が顧みられなくなる現象を指します。

まるでファストフードのように、生活や文化が均質化されていくのです。

私は、この本を読んで、以下のようなことに気づきました。

ファスト風土は若者世代にとっても問題だ

  • ファスト風土は、若者や団塊ジュニア世代にとっては、国土全体に広がったインフラと考えられており、好きでも嫌いでもない「地元」で過ごした日々にはどんな意味があったのかを問い直す必要がある。
  • 三浦さんは、郊外育ちの若者たちが「地元」に対して持つ感情や価値観を調査し、その結果を本書で紹介しています。彼らは、「地元」を自分のルーツやアイデンティティと結びつけることができず、他者と共有することもできないと感じていることが多いようです。
  • しかし、それは彼らが「地元」に無関心だからではなく、むしろ「地元」に対する新しい関わり方や表現方法を模索しているからだと三浦さんは指摘しています。彼らは、「地元」を自分たちの手で再発見し、再構築しようとしているのです。

ファスト風土から脱却するためには想像力が必要だ

  • ファスト風土は、視覚的にも精神的にも遠景を失わせる効果があり、人々は自分の身近な空間や人間関係に閉じこもりがちになる。しかし、新海誠監督のアニメーション作品などでは、さまざまな風景をリミックスして、郊外の景観の全国版をつくり上げており、ポスト郊外の想像力を示している。
  • 三浦さんは、このような作品を「郊外アニメ」と呼び、その特徴や意義を解説しています。彼は、「郊外アニメ」が描く世界は、「ファスト風土」という現実から逃避するものではなく、「ファスト風土」という現実に向き合うものだと述べています。
  • 「郊外アニメ」は、「ファスト風土」の中に潜む可能性や魅力を発見し、それを映像化することで、人々に新しい視点や感動を与えるのです。

ファスト風土から脱却するためには行動力も必要だ

  • ファスト風土から脱却するためには、地方都市の中心市街地を活性化することが重要であり、そのためには歓楽街や娯楽地区を新しい形で甦らせることが必要である。福井市で女性が経営する女性も楽しめるバーなどは、その一例である。
  • 三浦さんは、このような取り組みを「郊外ナイト」と呼び、その背景や意義を分析しています。彼は、「郊外ナイト」が生まれる理由として、以下のようなことを挙げています。

- 郊外の人々は、自分たちの暮らしに満足しているが、同時に何かが足りないと感じている。

- 郊外の人々は、自分たちの暮らしに刺激や変化を求めているが、同時に安全や安心を求めている。

- 郊外の人々は、自分たちの暮らしに関わる人々とのつながりを求めているが、同時にプライバシーや自由を求めている。

  • 「郊外ナイト」は、このような郊外の人々のニーズに応えることができる新しい娯楽形態であり、地方都市の夜を再び賑わせる可能性を秘めているのです。

ファスト風土から脱却するためには未来志向も必要だ

  • 人々はますます、「スロー」「スモール」「ソフト」「ソーシャブル」「サスティナブル」な生活を求めるようになり、それら5つの「s」に注目した第五の消費社会が到来するだろう。
  • 三浦さんは、このような消費社会の変化を「ポストファスト風土」と呼び、その特徴や意義を説明しています。彼は、「ポストファスト風土」が実現するためには、以下のようなことが必要だと述べています。

- 地域社会やコミュニティの再生や再構築

- 自然環境や文化遺産の保護や活用

- 地域資源や特産品の開発や販売

- 地域間や世代間の交流や協働

- 地域主義や多様性の尊重や推進

  • 「ポストファスト風土」は、「ファスト風土」という現状から抜け出すためには、地方と郊外が主体的に動くことが必要だというメッセージを伝えているのです。


この本は、社会学や都市計画に興味がある人だけでなく、自分の住む場所や暮らし方について考えたい人にもおすすめです。

特に、郊外育ちや地方出身の人には、自分のルーツやアイデンティティに関わる問題として興味深く読めると思います。

この本は、光文社新書から発売されており下記リンクから購入できます。

私は、この本を読んで感動しました。三浦展さんの視点や提言は、私たちが日本の地方と郊外の未来を考える上で非常に参考になります。私も、自分の住む場所や暮らし方についてもっと深く考えてみたいと思いました。