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ネット右翼になった父との対話 『ネット右翼になった父 (講談社現代新書)』で語られる分断された親子の絆を取り戻す方法

こんにちは。今回は、私が最近読んで感動した本を紹介したいと思います。その本とは、ルポライター鈴木大介さんが書いたネット右翼になった父』(講談社現代新書です。


この本は、鈴木さんの父親が晩年にいわゆるネット右翼的な言動をとるようになり、それに反発し心を閉ざしていた鈴木さんが、父親の死後、父親の言動を振り返り、家族や知人にインタビューし、父親の実像を蘇らせていくという物語です。


この本を読んで、私は自分の家族や社会に対する見方が変わりました。この本を読んで、家族との対話を試みることの大切さや、親がどんな思いで生きてきたかを知ることの意味や価値を感じました

この本は、ネット右翼になった父親だけでなく、その背景にある家族や社会の問題にも目を向けています。ネット右翼というレッテルの下に見えてくるのは、コミュニケーション不全に陥った親子の関係や、老いや病に苦しむ人々の孤独や不安です。


この本は、私たちが今直面している「現代の家族病」について考えさせられる一冊です。この記事では、この本の内容や感想を詳しく紹介し、この本から学べることや役立つことをお伝えしたいと思います。この記事を読んで、ぜひこの本を手に取ってみてください。

本書の長所

この本を読んで良かったと感じた点は次のようなところです。

  • 著者自身が体験した実話であり、リアリティや説得力があります。
  • 著者が父親や家族や知人にインタビューした内容や、父親が残したメモやメールなどを引用しています。これにより、父親の人間性や思想や感情が具体的に伝わります
  • 著者がネット右翼や保守という概念を歴史的・社会的・政治的・文化的な文脈で分析しています。これにより、父親だけでなく、多くの人々がネット右翼的な言動をとるようになった背景や理由が明らかになります。
  • 著者が自分自身の心情や葛藤や成長過程を率直に描いています。これにより、読者は著者と共感したり、自分の家族や社会との関係を見つめ直したりするきっかけになります。
  • 著者が父親との対話の回復や家族の再生のために試みたことや学んだことを具体的に紹介しています。これにより、読者は自分も同じようなことができるかもしれないという希望や勇気を持つことができます。

本書の内容と感想

この本は、以下のような内容で構成されています。

  • 第1章では、父親がネット右翼的な言動をとるようになった経緯や、著者がそれにどう反応したかを描いています。父親は、高度成長期を駆け抜けた「典型的な昭和の会社員」であり、退職後は中国に長期で語学留学し、韓国語も学んだ意欲旺盛な人でした。しかし、老いや病に苦しみ始めると、社会的弱者に自己責任論をかざし、嫌韓嫌中ワードを使うようになりました。著者は、父親の言動にショックを受け、言葉を失い、心を閉ざしてしまいました
  • 第2章では、父親がネット右翼になってしまった原因や背景を探るために、著者が父親の知人や友人にインタビューした内容を紹介しています。インタビューからわかったことは、父親は昔から保守的な思想を持っていたわけではなく、むしろ進歩的で開放的であったこと、父親は仕事や趣味で多くの人々と交流していたが、老いてからは孤立してしまったこと、父親はネット右翼的な言動をとることで自分の存在意義や正義感を確かめようとしていたことなどでした。
  • 第3章では、ネット右翼や保守という概念を歴史的・社会的・政治的・文化的な文脈で分析しています。ネット右翼という言葉は、2000年代初頭に登場したものであり、インターネット上で右派的な主張や行動をする人々を指すものでした。しかし、その後、ネット右翼はメディアや政治家に利用されるようになり、保守派の代名詞やレッテルとして使われるようになりました。保守という言葉も、日本では明治以降に変化してきたものであり、現在では国家主義や伝統主義や排外主義などの意味合いを持つようになりました。これらの概念は、多くの人々が不安や不満を抱える現代社会において、安心感や帰属感を与える役割を果たす一方で、分断や対立を助長する危険性も持っています
  • 第4章では、父親が末期がんで余命宣告されたことを知った著者が、父親との対話試みる過程を描いています。著者は、父親に対する怒りや憎しみを乗り越え、父親の言動に理解や共感を示そうと努力します。しかし、父親は自分の考えを変えることなく、ネット右翼的な主張を繰り返します。著者は、父親との対話の意味や方法に悩みます。そんな中、著者は父親のメモやメールを読んで、父親が自分に伝えたかったことや、自分に対する愛情や期待を感じます。著者は、父親との対話の回復や家族の再生のために、以下のようなことを試みます。

- 父親に自分の本音や感情を伝えること
- 父親の言動に反論するのではなく、質問すること
- 父親の言動に共感する部分を見つけること
- 父親の言動に影響された人々や社会問題に関心を持つこと
- 父親の人生や経験を尊重すること

  • 第5章では、父親が亡くなった後、著者が父親の遺品や遺言を整理したり、家族や友人と話したりすることで、父親との関係や自分自身について振り返っています。著者は、父親との対話は完全には成功しなかったものの、父親と向き合うことで自分も成長できたと感じます。

著者は、父親が残した本やメモやメールから、父親が自分に伝えたかったメッセージを読み取ろうとします。著者は、父親が自分に教えてくれたことや感謝したいことを書き出します。著者は、父親がネット右翼的な言動をとったことは否定できないものの、それだけで父親を判断することはできないと考えます。著者は、父親がネット右翼的な言動をとるようになった社会的要因や背景も考慮しつつ、父親の人間性や思想や感情を理解しようとします。


この本を読んで私が感動した点や役に立った点は以下の通りです。

  • この本は、ネット右翼的な言動をする人々を一方的に批判するのではなく、その背景や理由や感情を探ろうとする姿勢が素晴らしいと思いました。この本は、ネット右翼」というレッテルではなく、「人」として向き合うことの大切さを教えてくれました。
  • この本は、家族や社会に対する見方が変わりました。この本を読んで、家族との対話を試みることの大切さや、家族がどんな思いで生きてきたかを知ることの意味や価値を感じました。この本は、「家族」という関係ではなく、「人」として向き合うことの大切さを教えてくれました。
  • この本は、自分自身に対する見方が変わりました。私も自分の考えや感情を抑えて生きてきました。でも、この本を読んで、自分の本音や感情を伝えることの大切さや、自分の考えや感情に理解や共感を求めることの意味や価値を感じました。この本は、「自分」という存在ではなく、「人」として向き合うことの大切さを教えてくれました。

結論

ネット右翼になった父』は、ネット右翼的な言動をする父親との対話を試みるルポライターの物語です。この本は、ネット右翼的な言動をする人々に対する理解や共感を促すとともに、家族や社会に対する見方や関係性を見つめ直すきっかけになります。この本は、自分自身に対する見方や感情表現も変えてくれます

この本は、以下のような人におすすめです。

  • ネット右翼的な言動をする人々に対して偏見や拒絶感を持っている人
  • 家族との対話がうまくいかない人
  • 自分の考えや感情を抑えて生きている人

この本は、以下のような場面で役立ちます。

  • ネット右翼的な言動をする人々と対話するとき
  • 家族との関係を改善したいとき
  • 自分自身の心情や葛藤に向き合いたいとき

この本は、下記のリンクからも購入できます。

この記事が気に入ったら、ぜひ『ネット右翼になった父』を読んでみてください。それでは、また次回の記事でお会いしましょう。