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死後に有名になることについて。映画「ヴィヴィアン・マイヤーを探して」を見て感じたこと。

芸術家の中には死後に評価が高まり、有名になる人もいる。

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死後に撮影した写真が発掘され、評価を得たヴィヴィアン・マイヤーの生前の足取りを追った映画「ヴィヴィアン・マイヤーを探して」を見て感じたことを書きたい。


<目次>

1. 死後に評価が高まること

芸術家の中には、生前には作品の価値が得られず、死後に評価が高まり名声を得る人がいる。ゴッホが有名な例であろう。
ヴィヴィアン・マイヤーという一人の米国人女性がいた。生前、たくさんの写真を撮影していたが、誰にも発表することなくこの世を去った。彼女の残した遺留品をオークションで入手した人が、その写真に価値を認め写真展などを開催した。彼女の作品は多くの人の共感を得て、名声を得るに至った。
ヴィヴィアン・マイヤーは生前、まったくの無名の人生を送っていた。その謎が多い生涯を残された写真などの遺品、故人とかかわりがあった人へのインタビューで解き明かす映画が「ヴィヴィアン・マイヤーを探して」である。

2.かなり個性的な人物であったらしい

ヴィヴィアン・マイヤーは生前、ベビーシッターを職業としながら、たくさんの写真を撮影していた。結局、他人には撮影した写真を見せずしまいであったらしい。街中で普通の人に迫ってスナップ撮影をした作品など、撮影した時代を表す活き活きとした写真が持ち味である。
誰にも見せたくなかったのかというと、どうもそうではなく、おそらく少しは発表する作品として意識しながら撮影はしたが、結局、公表する場所を持ちえなかったのだろう。映画の中では、ベビーシッターとして働いた家庭の人々の証言がいくつかあった。インタビューから浮かびあがってくる彼女の人物像は、人付き合いが苦手で孤独、少し変わったところのある人であったようだ。彼女なりに生きづらい日常生活を、写真撮影という自分らしさを発揮できる行動を継続することで、何とか生き抜いていたのではないかと思われる。

参考リンク「【美術解説】ヴィヴィアン・マイヤー「謎のアマチュア写真家」


3.死後に有名になることの是非

映画の中では、彼女の写真作品だけでなく、本来無名で忘れ去られていた一人の米国人女性の生涯が解き明かされていく
私は、この映画を見て複雑な気持ちになった。おそらくヴィヴィアン・マイヤーは自分の写真作品が称賛されることについては、少しは望んでいたと思うが、自分の無名の一生が映画化されていろんな人の証言により明らかにされるのは望んでいなかったのではないか。本人が死んだ後の探索なので、言わば「欠席裁判」の様相となっている。
自分の家族、親戚との付き合いも少なく、生涯独身で一人での生活を貫いた彼女の一生は、普通に見るとやはり幸福が感じ取れない。本人も、だからこそ写真作品を発表することもなく、ひっそりと人生を終え、忘れ去られることを望んだのではないだろうか。そう考えると、死後に作品が評価されるのは光栄なことではあるが、自分の人生が衆目にさらされることは、ある意味怖いものだと思った。

4.まとめ

・米国人女性ヴィヴィアン・マイヤーは死後、撮影した写真が評価され著名になった。
・その生涯を探った記録が「ヴィヴィアン・マイヤーを探して」という映画になり公開された。
・映画によると、彼女は一風変わった性格で生涯を独りで生活をしていたらしい。
・死後、有名になるのは、本人の意図を越えた評価を引き起こすので怖いものだ。


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