こんにちは。今回は、児童精神科医である宮口幸治さんの著書『どうしても頑張れない人たち―ケーキの切れない非行少年たち2―(新潮新書)』を読んでみました。
この本は、2020年に新書部門のベストセラー第一位になった『ケーキの切れない非行少年たち』の続編とも言える内容です。
前作では、医療少年院に収容された非行少年たちが、認知機能の低さや境界知能という特性を持っていることを指摘し、彼らに合った支援方法やトレーニングを紹介しました。
今作では、非行少年だけでなく、仕事や勉強などで「どうしても頑張れない人たち」に焦点を当てています。
彼らはサボっているわけではありません。頑張り方がわからず、苦しんでいるのです。
そうした人たちを「頑張らないから」という理由で切り捨ててしまったらどうなるでしょうか?社会はますます殺伐としたものになっていくでしょう。
そこで、この本では、「頑張れない人たち」の真の姿を認識し、彼らを正しく支援していくための方策を詳述しています。
私はこの本を読んで、以下のようなことに気づきました。
- 「頑張る人を応援します」というメッセージは、実は「頑張れない人」にとっては傷つく言葉になり得る
- 「頑張れない人」は能力的に「頑張る」ということが理解できなかったり、生活そのものがサバイバルだったりする
- 「頑張れない人」は自分が認められたいという欲求が強く、それが満たされないと自己否定や自傷行為に走りやすい
- 「頑張れない人」に対しては、「やる気を出せ」とか「努力しなさい」とか言っても逆効果である
- 「頑張れない人」に対しては、「一緒に考えよう」「一緒にやろう」「一緒に楽しもう」という姿勢で接することが大切である
- 「頑張れない人」を支援する人もまた、自分自身のメンタルヘルスやストレスマネジメントに気をつける必要がある
この本を読んで、私は自分自身や周りの人に対する見方や態度が変わりました。
私も以前は、「頑張る人を応援します」という言葉に共感していましたが、それは自分の価値観や基準で他人を評価していることに気づきました。
私は「頑張る」ということができる環境や能力に恵まれていたのです。
しかし、それは当たり前ではなく、特権なのです。
「頑張れない人」は、私たちと同じように幸せになりたいと思っています。
彼らには彼らなりの努力や苦悩があります。
私たちは、彼らを見下したり、無視したり、排除したりするのではなく、理解しようとしたり、支えようとしたり、一緒に歩もうとしたりするべきです。
そうすれば、社会はもっと温かく、優しく、豊かになるのではないでしょうか?
この本は、非行少年だけでなく、仕事や勉強で悩んでいる人、自分の能力に自信が持てない人、周りの人と上手くやっていけない人、そうした人たちの家族や友人や職場の同僚や上司など、誰もが読んで得るものがある本だと思います。
この本を読んで、自分や他人に対する見方や態度が変わるかもしれません。ぜひ、この本を手に取ってみてください。
この本は下記リンクから購入できます。