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文化資本とハビトゥスが人生を決める!ブルデューの『ディスタンクシオン』を読んで感動した理由

こんにちは。今回は、フランスの社会学ピエール・ブルデューの代表作『ディスタンクシオン』について紹介したいと思います。


この本は、私にとってエポックメイキングな内容でした。なぜなら、私たちの日常生活にある「好み」が、どのように社会的な階層や差別を生み出しているかを、豊富なデータと分析で示してくれたからです。この本を読むと、自分の趣味やライフスタイルが、どれだけ社会的な影響を受けているかに気づきます。そして、それが自分の人生にどんな影響を与えているかにも考えさせられます


この本は、社会学の名著として世界的に評価されていますが、難解で長いというイメージがあります。しかし、この記事では、その内容や魅力をできるだけわかりやすく解説していきます。この記事を読んで、あなたも『ディスタンクシオン』に興味を持ってくれたら嬉しいです。

ディスタンクシオン』とは?

ディスタンクシオン』は、1979年に発刊されたブルデューの大著です。

原題は『Distinction: A Social Critique of the Judgement of Taste』で、「趣味の社会的判断力批判」という意味です。


ブルデューは、1960年代のフランス社会における文化的な消費行動(絵画、音楽、映画、読書、料理、部屋、服装、スポーツなど)を調査し、その背後にある階層化や差別化のメカニズムを明らかにしました。


ブルデューは、文化資本」という概念を提唱しました。文化資本とは、経済資本(お金や財産)と同じように社会生活において一種の資本として機能することができる種々の文化的要素(知識、教養、趣味など)のことです。


ブルデューは、文化資本がどのように獲得され、蓄積され、変換されるかを分析しました。そして、文化資本が階層間や階層内での「区別」(distinction)や「区別されること」(distinction)を生み出すことを示しました。

ディスタンクシオン』の内容

ディスタンクシオン』は以下のような構成になっています。

  • 第一部:「趣味」

- 趣味とは何か? 趣味は個人的なものではなく社会的なものであることを説明します。
- 趣味は階層間や階層内で区別されることで意味を持ちます
- 趣味は文化資本や経済資本や教育水準などによって異なります。
- 趣味は象徴的暴力(支配者が支配された者に自分たちの趣味や価値観を押し付けること)や象徴的抵抗(支配された者が支配者の趣味や価値観に反発すること)の場となります。

  • 第二部:「社会空間」

- 社会空間とは何か? 社会空間とは、社会的な位置付けや関係性を空間的に表現したものです。
- 社会空間は、経済資本や文化資本などのさまざまな資本の分布によって構成されます。
- 社会空間は、階層や集団や個人の違いや距離を示します。
- 社会空間は、象徴空間(社会的な位置付けや関係性を認識するためのイメージやカテゴリー)と対応します。

- ハビトゥスとは何か? ハビトゥスとは、社会的な条件によって形成された個人の思考や行動の傾向です。
- ハビトゥスは、社会空間における個人の位置に適合するように作用します。
- ハビトゥスは、趣味や消費行動などの慣習行動を生み出します。
- ハビトゥスは、社会的な変化に対して不適合や不安を生じさせることがあります

ディスタンクシオン』の感想

ディスタンクシオン』を読んで感動した点や、役に立った点を紹介します。以下は、私自身の感想や体験です。

  • 自分の趣味や消費行動が、社会的な影響を受けていることに気づきました。この本を読んでからは、自分の趣味や消費行動に対して客観的に見ることができるようになりました。そして、他人の趣味や消費行動に対しても偏見や批判を持たずに理解しようとするようになりました。
  • 自分の人生における階層化や差別化のメカニズムを理解しました。

私は自分の文化資本を自然に身につけたと思っていましたが、それは自分の家庭や学校や社会の環境に依るものでもあることに気づきました。そして、そのような文化資本が、自分に多くの機会や利益をもたらしたことに感謝しました。一方で、文化資本が不足している人たちが、どのような困難や不利益に直面しているかを考えるようになりました。この本を読んでからは、自分の社会的な位置や関係を認識することができるようになりました。そして、社会的な不平等や不公正に対しても敏感になりました。

  • 自分のハビトゥスを変えることの重要性と難しさを知りました。この本を読んでからは、自分のハビトゥスに対して意識的になることができるようになりました。そして、自分のハビトゥスを変えるために努力するようになりました。

ディスタンクシオン』の背景と著者

ディスタンクシオン』の背景や著者についても触れておきたいと思います。私はこの本の背景や著者に関心があります。

- 『ディスタンクシオン』は、1960年代から1970年代にかけてフランスで行われた大規模な社会調査(「文化的消費行動調査」)の成果をもとに書かれました。
- この調査は、ブルデューが率いた研究チームが、フランス全土で約1,200人の被験者に対して行ったアンケートやインタビューです。
- この調査では、被験者の文化的な消費行動(絵画、音楽、映画、読書、料理、部屋、服装、スポーツなど)だけでなく、その背景となる社会的な要因(年齢、性別、職業、収入、教育水準、家族構成など)も詳細に記録されました。
- この調査は当時としては画期的なものであり、ブルデューはそのデータを統計的に分析し、社会学的な理論を構築しました。

- ピエール・ブルデュー(1930年~2002年)はフランスの社会学者であり思想家です。
- ブルデューは、アルジェリアの農村で教師をした経験をもとに、植民地主義や暴力や文化の問題に関心を持ちました。
- ブルデューは、パリのエコール・ノルマル・シュペリウールソルボンヌ大学で学び、ライプニッツマルクスウェーバーなどの哲学や社会学の思想に影響を受けました。
- ブルデューは、『ディスタンクシオン』のほかにも、『教育の再生産』『実践の論理』『社会学の探求』『男性的支配』などの著作を残しました。
- ブルデューは、社会学の分野で多くの賞を受賞し、世界的な名声を得ました。
- ブルデューは、社会的な不平等や不公正に対しても積極的に発言し、運動しました。特に、1990年代後半から2000年代初頭にかけて、フランスで起きた労働者や学生や移民などの社会運動に参加し、支援しました。

ディスタンクシオン』のおすすめ度

以上が、私が読んだディスタンクシオンの内容と感想です。この本は、私にとって非常に衝撃的で有益な本でした。この本を読むことで、自分の趣味や消費行動が社会的な影響を受けていることに気づきました。そして、自分の社会的な位置や関係を認識することができるようになりました。また、自分のハビトゥスを変えることの重要性と難しさを知りました。

この本は、社会学の名著としてだけでなく、自己啓発や人生設計の本としてもおすすめです。この本を読むことで、あなたも自分自身や社会について深く考えることができるでしょう。私はこの本を5つ星中5つ星で評価します。ぜひ、この本を手に取って読んでみてください。