こんにちは、このブログをご覧いただきありがとうございます。このブログでは、私が読んだ本の感想やおすすめを紹介しています。今回は、竹内康浩・朴舜起著の「謎ときサリンジャー―「自殺」したのは誰なのか―(新潮選書)」について書きたいと思います。
この本は、サリンジャーの名短編「バナナフィッシュにうってつけの日」のラストが実は自殺ではなく殺人だったという衝撃的な仮説を展開する評論です。
サリンジャーの作品世界に隠された謎や暗号を解き明かし、やがては『ライ麦畑でつかまえて』までが関係してくるという驚天動地の内容です。
世界最高峰のミステリ賞〈エドガー賞〉の評論・評伝部門で日本人初の最終候補となった「文学探偵」竹内康浩が弟子である朴舜起と共に読み解く新たなサリンジャーの世界です。
この本を読んで、私はサリンジャーの作品に対する見方が大きく変わりました。以下に、私が感動した点や役に立った点を紹介します。
まず、本書はサリンジャーの作品を読む上で必要な背景知識や文脈を豊富に提供してくれます。
サリンジャーの生涯や人間関係、作品の執筆時期や出版状況、影響を受けた作家や思想などが詳しく説明されています。
特に、サリンジャーが第二次世界大戦に従軍した経験や精神的苦悩が作品にどのように反映されているかが興味深く読めました。
次に、本書はサリンジャーの作品に隠された謎や暗号を鮮やかに解き明かしてくれます。
例えば、「バナナフィッシュにうってつけの日」では、主人公シーモアが自分の部屋で拳銃自殺するというラストが有名ですが、本書ではそれが実は殺人だったという仮説を立てています。
その根拠として、作中で登場するバナナフィッシュという架空の魚やシーモアが持っている小さな拳銃、シーモアと妻ミュリエルの会話などを分析しています。
また、「逆さまの森」では、主人公ウェイカーが兄ボビーを殺したというラストも自殺だったという仮説を立てています。
その根拠として、作中で登場する逆さまの森というメタファーやウェイカーとボビーの関係性などを分析しています 。
さらに、本書はサリンジャーの作品に共通するテーマやモチーフを見出してくれます。
例えば、「落下」と「入れ替わり」という二つのキーワードがサリンジャーの作品に頻繁に現れることを指摘しています。
その意味や象徴性を解説しています 。また、サリンジャーの作品に登場するキャラクターが同じ家族の一員であることや、同じ名前やイニシャルを持つことなども注目すべき点だと述べています 。
以上のように、本書はサリンジャーの作品を深く理解するための貴重な一冊です。
私はこの本を読んで、サリンジャーの作品の魅力や奥深さを再発見しました。サリンジャーの作品に興味がある方はもちろん、文学やミステリが好きな方にもおすすめしたい本です。
この本は、新潮社から発売されています。価格は1,650円(税込)です。この本は下記リンクから購入できます。ぜひ、手に取ってみてください。