読書体験から豊かな人生を

読書体験から、新たな人生価値を見つけましょう

実録心理カウンセリングを受けてみた その25 睡眠制限法の事例

前回記事に引き続き、心理カウンセリングの実体験レポートその25である。

f:id:s_labo:20201227190501j:plain


睡眠制限法はどれくらいの期間続ければいいのだろうか。それを知りたくて、睡眠制限法の体験談を探したが事例は少なかった。ある本に治療例として睡眠制限法実施の経過が紹介されていたので、そちらを見ていく。


<目次>

1.睡眠制限法はどれくらい続ければよいのだろうか

睡眠制限法を始めてから3週間以上が経過した。「自分でできる「不眠克服」ワークブック」 には最初の1~2週間は、睡眠時間が短くなることもあり、日中に眠気やだるさが残ると書いてあった。しかし、中長期的な展望を持って続けると効果がでるとのことである。
自分も始めてみて、眠気やだるさで体調が悪い日が続いた。その内、改善していくだろうと 思っていたが、3週間経っても、不調な日がある。不調日の頻度は減ったと思うが、しんどい日はかなりつらく、精神的にネガティブな気分になってしまう。
他の人はどれくらいで改善効果を感じたのだろうか。身体の不調をどれくらいの期間、我慢すればトンネルを抜けられるのか。そういうことが気になって仕方がない。

2.睡眠制限法の体験談は少ない

気になったので、睡眠制限法の体験談や事例がないか探してみた。なかなか情報が少なく、途中経過の具体的な経緯の事例は見つけることができなかった。まあ、あったとしても、個人の体質や不眠になった背景、期間などにかなり左右されるので、本当に参考程度にしかならないだろうが、気休めとしてでも実例を知りたいと思った。

そんな中、睡眠障害の対応と治療ガイドラインという本の122 ページに睡眠制限法で不眠症を改善したケースの紹介が載っていた。この事例は、睡眠薬を常用していたが、行動療法を取り入れて、薬から離脱(断薬)できた事例として紹介されていたものである。

睡眠障害の対応と治療ガイドライン 第3版

睡眠障害の対応と治療ガイドライン 第3版

  • 発売日: 2019/06/29
  • メディア: 単行本


3.睡眠制限法取組みの事例

書籍に載っていた事例を要約して紹介したい。

紹介事例は、55 歳の女性のケースである。その方は、53歳までは子育てもあり忙しく、20年ほど夜11時半に就寝し、5時半に起床する生活リズムであった。忙しかったものの、寝つきはよく、熟眠感もあったという。
53歳のころ、子供が独立し、夫婦二人暮らしとなった。かねてから睡眠不足を実感していたので、8時間睡眠を意識して夜9時に入床し、7時過ぎに起きるようにした。しっかり眠りたいという願望を果たそうとしていたのだと思うが、実際は、入眠に時間がかかる他、中途覚醒も起こるようになった。
病院に行くと睡眠薬を処方され、服用するようになった。フルニトラゼパム(薬品名:サイレースロヒプノール)など複数の睡眠薬を服用するようになった。その後も、睡眠に目だった改善がなく、処方される睡眠薬も増えてきたので転院した。
転院先では、総臥床時間が10時間と長いため、11時に入床し6時に起きるよう指導された。総臥床時間が10時間を7時間まで制限する手法である。
本人から、日中つらいとの申告があり、10時入床とし総臥床時間を8時間としたら、1カ月で熟睡感が出た。 次に、10時30分入床を3ヵ月実施。睡眠薬も減量できるようになった。さらに朝6時に確実に起床するように習慣付けると、寝つきもよくなった。
2ヵ月で11時まで起きているようになり、睡眠薬も隔日服用とできた。6ヵ月後には11時半に就寝し、6時に起床する生活リズム(総臥床時間を=6時間30分)で安定し、睡眠薬もやめる(離脱)ことができた。
睡眠制限法を実施して約1年で睡眠が安定したとのこと。結果的には、53歳までの長年の元の睡眠時間のパターンに落ち着いたようだ。

4.事例から読み取れること

上記の事例は、2年間の不眠状況を1年かけて戻したというものである。
事例から読み取れることは、総臥床時間10時間で間延びしていた睡眠を、半年かけて段階的に総臥床時間を6時間30分まで短縮。睡眠薬を減量しながら継続して、さらに半年をかけて安定した睡眠をとることができるようになったとのことである。この方は、不眠に悩まされた期間が2年であったが、1年間じっくり睡眠制限法に取り組み、元の眠りのサイクルに戻した事例となる。自分の場合は、中途覚醒があり熟睡感がないという状況が長く続いていたので、この事例以上に期間を要するのかもしれない。
焦らず、自分の身体がもともと持っている調節する力を信じて、睡眠制限法をはじめとした不眠対策の行動療法に取り組んでいこうと思う。


(「実録心理カウンセリングを受けてみた」シリーズ、次回に続く)