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勢古浩爾著「定年後に読みたい文庫100冊」を読んでみた。

私は読書をしているが、読むジャンルが固定化してきているきらいがある。いつもとは違ったジャンルを開拓するために、おすすめ本がたくさん載っている本書「文庫 定年後に読みたい文庫100冊 (草思社文庫)」を手に取った。



<目次>

1.本書の構成、全般への感想

筆者は洋書の輸入会社で定年まで務めたあと、文筆業で何冊も著書を出されている。
「定年後」とタイトルに入っているが、特に定年後シニアに向けたテーマの本を意識的に選定しているわけではないので、その他の世代の人にもおすすめの文庫本ブックガイドとなっている。
読んでいて、ときどき筆者の言い回しが少しオヤジ臭い「・・・かね。」といったところが少し気になったが、その点を除けば、飾らない態度で自身が正直に面白いと感じた本をストレートに紹介しており参考になった。
題名に100冊と書いてあるが、文中には関連本も紹介されており、相当な数の本について書かれている。
筆者は、ずいぶんな読書家のようで、定年後で時間もあったということもあり、今回紹介された100冊はすべて再読して紹介文を執筆したとのこと。そのため、記憶のかなたで「いい本だったなあ」といった記述ではなく、おすすめする理由がかなり具体的・詳細に書かれており、文庫本で526ページのボリュームとなっている。ジャンル別に章立てがしてあるので、興味を持った分野から読み進めることができる。

2.この本を読んで興味を抱いた本

この本に載っていたおすすめ本のうち、気になったものを下記にリスト化した。
自分のための「読みたい本備忘リスト」でもある。(かっこ)内は私のメモである。
(リンク先はamazon

チボー家の人々(全13巻セット) (白水Uブックス)(私の父の書棚にもあったので気になる)
田中角栄研究全記録(上) (講談社文庫)/ロッキード裁判批判を斬る〈1〉 (朝日文庫)立花隆
大地の子 一 (文春文庫) 山崎豊子(筆者の著作はどれもオススメだが、「運命の人」は今一歩とのこと)
お言葉ですが…〈別巻1〉週刊文春の連載)
・奥田英郎のスポーツエッセイ
どちらとも言えません (文春文庫)/野球の国 (光文社文庫)/延長戦に入りました (幻冬舎文庫)
佐藤優 自壊する帝国 (新潮文庫)/獄中記 (岩波現代文庫)
伊丹十三 ヨーロッパ退屈日記 (新潮文庫)
斎藤兆史 努力論 決定版 (中公文庫)(「毎日、自分がなすべきことをこつこつ平然とこなしていく人がじつは一番偉いのである」)
佐野洋子 神も仏もありませぬ (ちくま文庫)(老年になった日々の哀歌)
・美達大和 人を殺すとはどういうことか―長期LB級刑務所・殺人犯の告白 (新潮文庫)/夢の国(殺人犯、無期懲役囚、在日二世)
写実絵画の魅力 世界初写実絵画専門美術館「ホキ美術館」に見る
木村元彦 オシムの言葉 増補改訂版 (文春文庫)
オシム 考えよ! ――なぜ日本人はリスクを冒さないのか? (角川oneテーマ21 A 114)
桑田真澄 心の野球―超効率的努力のススメ
増田俊也 七帝柔道記 (角川文庫)/木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか(上) (新潮文庫)
水曜日は狐の書評 ―日刊ゲンダイ匿名コラム (ちくま文庫)
・シャルル・ヴェグネル簡素な生活 (講談社学術文庫)
市川浩精神としての身体 (講談社学術文庫)
エリック・ホッファー自伝―構想された真実
司馬遼太郎竜馬がゆく (新装版) 文庫 全8巻 完結セット (文春文庫)

<海外ミステリ>
・アンドリュー・ヴァクス 凶手 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 189-7))
・トマス・クック 緋色の記憶 (文春文庫)
スペンサーという者だ
・クィネル 燃える男 (新潮文庫)
・S・ハンター 極大射程〈下巻〉 (新潮文庫)(シリーズもの)
サム・リーヴス 雨のやまない夜 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
・リー・チャイルド 警鐘(上) (講談社文庫)
特捜部Q ―Pからのメッセージ― 〔上〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫) (フィンランドが舞台)
クリスマスのフロスト (創元推理文庫)

<紀行もの>
沢木耕太郎 天涯 1 鳥は舞い 光は流れ (集英社文庫)/凍 (新潮文庫)
イザベラ・バード イザベラ・バードの日本紀行 (上) (講談社学術文庫 1871)
・佐野三治 ヤマケイ文庫 たった一人の生還 「たか号」漂流二十七日間の闘い(ヨットレース転覆事故でただ一人生還した人の手記)
・植村直巳 新装版 青春を山に賭けて (文春文庫)

<超長編>
池波正太郎 真田太平記(一~十二) 合本版
北方謙三 文庫版三国志完結記念セット(全14巻)
ワイルド・スワン 上中下巻セット (講談社文庫)
ケン・フォレット大聖堂 (上) (ソフトバンク文庫)
ジェフリー・アーチャー時のみぞ知る〈上〉: クリフトン年代記 第1部 (新潮文庫)

<その他、比叡山修行など>
千日回峰行 (新装増補版)
生き仏になった落ちこぼれ (講談社文庫)
凶犯 (新風舎文庫)

3.この本を読んでよかったポイント

・「時代小説」「海外翻訳ミステリー」「紀行もの」「山岳もの」など、自分があまり読んでこなかったジャンルの本に興味を持つことができた。「戦記物」で紹介されている本は、少しマニアックすぎて読もうという気持ちにはならなかったが。
・教養を重視したブックガイドで薦められているような哲学書などの古典は、無理して読まなくてもいいという態度である。
・読んで純粋に「面白い」と感じ取れる点を重視。知的ぶって格好をつけてはいないブックガイドであり、私のような「普通の人」に参考になった。

4.まとめ

世の中には新刊書以外にもまだまだ面白そうな本がいっぱいある。何冊にもわたるような超長編小説などを読破することは、定年後の楽しみの一つにもしていきたい。ただし、私の世代では時間的にゆとりを得られる「定年後」という時期をもてるのかは不明であるが。


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